iPhone Duo 512GBは全額損金にできる? 40万円特例とAppleCare+の取扱い

Appleは令和8年9月9日、初の折りたたみ式iPhoneとなる「iPhone Duo」を発表しました。日本では10月16日から予約注文を開始し、10月23日に発売されます。

このうち注目したいのが、512GBモデルの399,800円(税込)という価格です。

令和8年度税制改正では、中小企業者等の少額減価償却資産の特例について、対象となる資産の取得価額が30万円未満から40万円未満へ引き上げられました

そのため、中小企業者等が業務用としてiPhone Duo 512GBを購入する場合、税込経理であっても40万円未満となり、一定の要件を満たせば取得価額の全額をその事業年度の損金に算入できる可能性があります。

40万円未満なら全額損金にできる?

中小企業者等については、一定の要件のもと、取得価額が40万円未満の減価償却資産を事業の用に供した場合、その取得価額の全額を損金算入できる特例があります。

この取得価額基準は、令和8年度税制改正により、令和8年4月1日以後に取得等して事業の用に供する資産について、40万円未満へ引き上げられました。

iPhone Duoの512GBモデルは399,800円(税込)です。

そのため、税込経理を採用している法人でも、本体価格だけを見れば40万円未満となります。

なお、40万円未満かどうかの判定は、法人が採用している消費税の経理方式によって異なります。税抜経理方式であれば税抜価額、税込経理方式であれば税込価額で判定します。

「40万円未満=必ず全額損金」ではない

もっとも、取得価額が40万円未満であれば自動的に全額損金になるわけではありません。

この特例は一定の中小企業者等を対象とする制度で、年間の適用額には合計300万円までという上限があります。

また、購入しただけでは足りず、その事業年度中に実際に事業の用に供していることが必要です。

会社で使用する目的で購入したiPhone Duoであっても、期末近くに購入して未使用のままであれば、その事業年度で特例を適用できない点には注意が必要です。

AppleCare+を付けたら40万円を超える?

iPhone Duo 512GBが399,800円ということで、気になるのがAppleCare+です。

本体と同時にAppleCare+へ加入すれば、支払総額は40万円を超えることになります。

では、AppleCare+の料金までiPhone本体の取得価額に含めて、40万円未満かどうかを判定するのでしょうか。

減価償却資産の取得価額には、資産そのものの購入代価だけでなく、その資産を取得するために要した費用や、事業の用に供するために直接要した費用が含まれるのが原則です。

一方、AppleCare+は、修理サービスやテクニカルサポートなどを受けるための保証・サポートサービスです。

そのため、iPhone本体の取得そのものに必要な費用というより、端末本体とは別に提供される保証・サポートサービスの対価として、本体とは区分して考えるのが基本的な整理になると考えられます。

したがって、512GBモデル399,800円にAppleCare+を付けた結果、支払総額が40万円を超えたとしても、そのことだけで直ちにiPhone本体が40万円特例の対象外になるとは考えにくいでしょう。

ただし、契約内容や請求形態によって処理が変わる可能性はあるため、本体価格とAppleCare+の料金が区分されていることは確認しておきたいところです。

40万円への引上げが実感しやすい価格帯

今回のiPhone Duoは、令和8年度税制改正による40万円基準への引上げを非常に分かりやすく実感できる商品です。

512GBモデルの399,800円(税込)は、従来の30万円未満という基準では特例の対象外でした。

それが40万円未満へ引き上げられたことで、税込経理を採用する法人であっても、条件を満たせば少額減価償却資産の特例を適用できる価格帯になりました。

実務でどう考えるか

iPhone Duoのような高額スマートフォンを購入する場合には、単に販売価格だけを見るのではなく、

  • 税込経理か税抜経理か
  • 中小企業者等の要件を満たしているか
  • 年間300万円の上限に達していないか
  • その事業年度中に事業の用に供しているか
  • AppleCare+など本体とは別のサービス料金が区分されているか

を確認する必要があります。

特に512GBモデルは399,800円(税込)と40万円基準の直前に位置するため、今回の税制改正の影響を象徴する価格設定といえます。

令和8年度税制改正による40万円への引上げは、一見すると単なる金額基準の変更ですが、高性能なスマートフォンやパソコンなどを購入する中小企業にとっては、実務上かなり身近な改正となりそうです。

執筆:川崎 伸悟|WAT’m税理士法人 代表社員 / 税理士

参考資料

・Apple「iPhone Duoを購入
・Apple「iPhone Duoを発表
・Apple「AppleCare+
・財務省「令和8年度税制改正の大綱
・国税庁「少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示